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2013年 03月 19日

閉ざされた記録 - 08  美唄市我路

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美唄市我路 / 1999年10月5日


私が周った多くの旧産炭地で、今でも印象に残る出来事、
それは美唄市我路を初めて訪れた時の光景である。

古びた木造が続き、
屋根の落ちた廃屋に露出する生活用品の数々。
積まれた畳、布団の生地の白さが目につく。
ゴーストタウンの様相を呈していた集落(まち)は、
ひどく荒れた状態で、まるで打ち捨てられたようであった。

写真を撮るのをためらうような中で、
お構いなしに道道の橋の付け替え工事が進んでいる。
気づけば長屋の玄関先で、心配そうに見つめる白髪の老婆の姿に、
如何ともしがたい感情が湧いた。


「今、必要なのは、これではないだろう… 」


廃墟を撮るならフィルムが何本あっても足りないだろう
そんな我路の集落で数回だけシャッターを切り、車を走らせた。

もちろん今では有名になった映画館の映写室も写っていない。
何も写ってはいない。


   ◇     ◇     ◇     ◇


美唄市内で最後まで残っていた北菱産業我路炭鉱の閉山は1973(昭和48)年。
基幹産業を失った我路地区の衰退は著しく、空家が放置されていた。
冬期の積雪による屋根落ちや倒壊が多く、すごく荒れていたが、
その後、撤去や整理が行われ、草生した空き地が目立つ集落となった。

街並の一角にある往年の繁栄を伝える我路映劇は、
8年後の2007年10月7日の再訪時に撮影しているが、
老婆の住んでいた長屋はなくなっていた。

また集落を通る道道135号の延伸工事は、完成すると富良野市の島ノ下まで繋がるが、
美唄市側が遅々として進んでいない状況である。



 
 
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by mori-to_coa | 2013-03-19 00:00 | Return 1996-2003


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