遠い記憶、忘れられた風景。

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2006年 11月 01日

落石無線電信局・送信所居住区   ― 北海道根室市落石西 ―

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深い緑に隠される歴史、つかの間の繁栄。


■ #003 残影 ■   ― 根室市落石西 ―


1931年(昭和6年)、あのシリウス号は根室にやって来た。

リンドバーグ(米)は北太平洋横断飛行の途中、
濃霧の中をこの局の誘導により根室港に着水。
市民からの賞賛を受けると、壮大な旅路の疲れを癒している。

街は歴史に残る偉業の1ページに登場し、
この施設は貢献したのだった。

移設廃止後45年を経過した現在、
改修されて姿を留めている局舎以外に、
建物らしきものは見当たらない。

居住区は建物の基礎部分だけが残っている状態で、
しかもその大部分が草で覆われいる。

いわれなければその存在に気づく人が、
ほとんどいないということも不思議ではなかった。
すでに遠い記憶に、なりつつある。     

そんな中で、藪に隠れる残骸の中で見つけたタイル張りの浴槽は、
小さなコミュニティの華やかりし頃の想い出であるかのようだった。


   ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇


落石無線電信局は1908(明治41)年、おもに北米航路および付近を航行する船舶と、
無線電信を行うために設置される。
後に船舶・航空などのほか千島・樺太(現在のサハリン)・カムチャツカの陸上局(電信局・郵便局)
とも固定通信業務を行っていた。
業務は公衆電報・遭難通信・気象通報・航行警報および報時通信など多岐にわたる。

1931年(昭和6年)には、リンドバーグ(米)の偉業である北太平洋横断飛行の途中に、
シリウス号は濃霧の中をこの局の誘導により根室港に着水し、市民に来訪の歓迎を受けている。

大正時代以降に造られた施設は鉄筋コンクリート造の局舎と90m高をはじめとするアンテナ塔が5基(時代により変化)、
付属する長大な居住棟が5棟、格納庫・共同浴場など、
驚くことにテニスコートまでが存在して、職員の家族を含めてここで生活し、
日々の業務をしていたという。

現在でも改修された局舎(個人所有)と90mのアンテナ塔の基礎4基、
それに居住区の基礎を中心とした遺構が残っている。 

                                    (参考資料:落石無線電報局沿革史・北海道 無線のあゆみ)
 
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by mori-to_coa | 2006-11-01 00:00 | 1996-2003


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