遠い記憶、忘れられた風景。

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2006年 10月 26日

英橋   ― 北海道空知郡栗沢町(現・岩見沢市)万字 ―

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できるだけ当時の様子を想像する。

 
■ #005 視点 ■


最近は廃線や廃墟について書かれた本やガイドブックが、ずい分増えた。
地図や施設の概要について詳しいものが多く、本当にありがたい。
私はもう10年以上も廃墟・廃線の撮影をしているが、情報が少ない頃はわずかな資料(少し古めの地図が役に立つ)と感が頼りで、これはと想うところには躊躇うことなく足を延ばさなくてはならなかった。
そんな中で一番見つけやすいのは、やっぱり廃線跡である。

北海道では国鉄が民営化(JRに移行)される前に、全国に類をみないほど多くの路線が廃止された。
その何10㎞、時には100㎞以上にもおよぶ廃線の一部を、現地に行けば必ず見つけることができる。
何故かといえば細長い線路跡はそのまま放置されることがほとんどで、駅舎もほかの施設となり残っていることあるからだ。

それに道路と寄り沿うように鉄路が走っていたので、探さなくともそれと分かることもある。面白いのは廃止後の路床そのものが道になっていたりもする。
この場合は気づいていないだけで、すでにたどり着いているというわけである。

それ以外では炭鉱町だったところが廃墟を探しやすい。
昔栄えていたが閉山と共に一気に衰退したり、
現在の姿に至るまで多くの変遷がある場合が多いからだ。
坑口の変更や炭鉱施設そのもの移動によって、
街もあとを追うように変化していることもある。
そんなところは市街地の外れなどが廃墟や廃屋、遺構で溢れている。

それと旧産炭地域に行って忘れてならないことは、
橋があったらその上から周りを見ること、特に下をのぞくことである。
炭鉱は山間にあることがほとんどで現地に辿りつくまで、
川の流れる谷をいくつもやり過ごしている。
一見、何でもないように見える自然の中に、
以前使っていた橋桁やトンネル、コンクリート塊やレンガ積みの残骸があることが多い。

そう、この英(ハナブサ)橋も谷底にある万字炭山の集落を確かめようと、
現・英橋から見下ろした時に見つけた。

何とも味わいのある橋ではないか…

     
廃墟探しはどれだけ地形を「読む」ことができるかが勝負だと想う。
それができると、そこには壮大なノスタルジーが待っていてくれる。


   ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇


1937年(昭和12年)につくられた英橋(二代目)は全長約80mの鉄筋コンクリート道路橋。
橋の両端に花をイメージした電燈が設置され、その洒落たデザインが当時の町の人たちの自慢であったが、
1969年(昭和44年)に道道拡幅の時に三代目の英橋が架けられ、役目を終えた。
1921年にかけられた初代・英橋は現存していないが、全長73mにも及んだ巨大つり橋で、
こちらも一見価値があったことは間違いなさそうである。
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by mori-to_coa | 2006-10-26 00:00 | 1996-2003


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